Japanese
English
特集 腹部外科のPhysical Signs
聴診から得られるもの
Ausculation in abdominal surgery
石川 浩一
1
Koichi ISHIKAWA
1
1東京大学医学部第1外科
pp.445-448
発行日 1975年4月20日
Published Date 1975/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206225
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はじめに
近年腹部の外科的疾患には,消化管二重造影,胆道造影,消化管内視鏡,胃液・膵液の分泌機能試験,消化吸収試験,腹部大動脈とその分枝・門脈などの血管造影が日常広く用いられるようになり,診断は質的にも局在的にもきわめて精密に行なわれるようになっている.しかし,患者に与える負担が少なく,疾病の本質に触れやすく,また設備や人員を要しないなどの点で,腹部の視診,触診,聴診,計測,直腸指診,糞便検査,腹部X線単純撮影などの古典的な診断法は依然として重要であつて,その価値が大きい.ことに,腹壁・腹膜内外の病変や腸管の運動機能などの診断には精密検査法に盲点があり,また急性腹症や腹部血管異常の診断には,聴診法が今なお欠くことのできない診断法となつている.
このような部位の病態について,腹部で聴診しうる雑音は大きい推測の材料となつたり,診断のきめてとなつたりするものであつて,従来胸部に聴診器をあてる姿が内科医を象徴するように,熟練した外科医にとつて腹部疾患の診断に聴診器が重要な武器となつている.
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