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特集 膵炎の外科
慢性膵炎
診断基準をめぐる問題点
Chronic pancreatitis problems on diagnostic criteria
石井 兼央
1
Kaneo ISHII
1
1国立がんセンター内科
pp.1511-1516
発行日 1973年11月20日
Published Date 1973/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205915
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はじめに
慢性膵炎を病理組織学的に初めて記載したのはFriedreich(1878年)であるといわれている1).彼は大酒家によくみられる膵実質細胞の減少,線維化などの膵組織の慢性炎症像をさして,酒客の膵炎(drunkard's pancreatitis)とよんだ.ついでOpie(1902年)は線維の増生には膵小葉間にみられるもの(intralobular type)と,小葉内にみられるもの(intraacinar type)の2型があり,アルコール中毒ではintraacinar typeの膵線維化が多いとのべている2).Opieのこの説はその後肯定されていないが,膵臓の線維化を病因との関連でながめた点で注目される.このように慢性膵炎の病理組織学はずいぶん古くより知られていたのだが,臨床所見に特徴的なこともなく診断法にも決め手になることもなかつたので臨床上の問題とはながらくなりえなかつた.
現在でも実際に用いられている血液,尿のジアスターゼ定量法(Wohlgemuth法)をWohlge-muthが発表したのは1908年であつたが3),Wo-hlgemuth法が普及し腹痛患者で血液,尿ジアスターゼが測定されるようになつてきたのは1930年頃からのようで,この頃になつて急性膵炎,慢性膵炎の臨床診断が内科医によつてもされるようになつてきた.
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