クリニカル・カンファレンス
創傷治療をどうするか
羽鳥 俊郎
1
,
志賀 厳
2
,
塩谷 信幸
3
,
加藤 繁次
4
,
橋詰 定明
5
,
牧野 永城
6
1済生会中央病院外科
2東京労災病院外科
3横浜市立大形成外科
4東京歯科大市川病院外科
5長狭国保病院外科
6聖路加国際病院外科
pp.670-688
発行日 1973年5月20日
Published Date 1973/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205805
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〈症例〉
患者:55歳男子.
現病歴:1966年9月28日の夜,飲酒して銘酊し,隅田川の堤防(約1.5mの高さ)から河岸に転落,左前額部を打ち,長さ3cm余りの,泥で汚染された裂創を負つた.意識喪失,頭痛,悪心,嘔吐などの症状はなかつた.付近の診療所に運び込まれ,創傷を4針縫合閉鎖の上,3日間入院の後退院.外来治療を続けた.受傷後5日目に創の周囲から顔面左半分に多少の硬直や,時折ピクピクという痙攣みたいなものを感ずるようになつた.当院にいる知り合いの医師に電話して様子を話したら,破傷風の危険があるから直ちに入院するように言われ,入院してきた.初療の際の治療の詳細は不明だが,破傷風の予防注射は行なわれなかつたらしい.本人は以前にもそのような注射を受けたことはないという.
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