Japanese
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特集 上腹部痛—誤りやすい疾患の診療
上腹部痛の病態生理
Pathological physiology of upper abdominal pain
木村 忠司
1
Chuji KIMURA
1
1京都大学医学部第2外科
pp.1481-1485
発行日 1971年9月20日
Published Date 1971/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205445
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Ⅰ.上腹部内臓の知覚支配(付表,第1図)
腹部内臓の求心神経線維は自律神経とともに走行するから自律神経の解剖をしらべることによりその中に含まれる求心線維の分布状態を知ることができる.
上腹部内臓の自律神経は交感神経と迷走神経からなり,求心線維はこれと同行し機能的にも両者は反射弓の両翼をになつて密接な関係下にあるから交感神経と同行する求心線維を交感神経知覚線維sympathetic afferents(=S.A.)と称し,迷走神経と同行するものを迷走性知覚線維vagal af-ferents(=V.A.)と呼ぶ.S.A.は病的刺激に対してはいたみを伝えV.A.は悪心,嘔吐などの反射を誘発するものである.V.A.がいたみを伝えるかどうかは疑問視されているが,悪心,嘔吐などの反射は明らかに腹筋反射を生ずるから,このようなviscero-motor reflex内臓運動反射を介して上腹部に関連痛を生ずることは可能である.またvagusを通じて顔面,上頸部などに関連痛を生ずることも知られているからvagusもまたいたみに関係するとの考え方が有力になつてきている(Mounier).
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