今月の主題 腹部疾患をエコーで診る
症候からのアプローチ
上腹部痛
金田 智
1
1東京都済生会中央病院放射線科
pp.184
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100903
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上腹部痛の診療にあたっては,問診や診察,臨床経過,臨床症状,採血データなどの情報から鑑別診断を進めるわけであるが,確診したり否定するために超音波検査やCTなどの画像診断が行われる.超音波検査は無侵襲で簡便であるが,十分な技術がないと大きな病変も見落とすことがあり,検者の技能や患者の状況による検査の限界も心得ておかなければならない.
上腹部痛の原因としては,心疾患と上腹部臓器の病変をまず想起するが,上腹部痛といっても,激痛から不定愁訴的な漫然とした痛みまで,きわめてさまざまである.激痛であれば,胃・十二指腸潰瘍の穿孔や急性膵炎などを考える.痛みと熱があれば,肝膿瘍,急性胆囊炎,腎膿瘍,腎盂腎炎などの炎症性疾患を考える.慢性的な痛みの場合は,悪性腫瘍も含めて考えなければならない.各臓器の超音波所見と臨床所見から鑑別していく(表1).
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