Japanese
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特集 上腹部痛—誤りやすい疾患の診療
手術を必要としない上腹部痛
Upper abdominal pain not necessary for operation
山形 敞一
1
Shoichi YAMAGATA
1
1東北大学医学部第3内科学教室
pp.1475-1479
発行日 1971年9月20日
Published Date 1971/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205444
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まえがき
腹痛は内臓痛,体性痛または両者の合併および連関痛の4つに分けて考えられるが,一般の疼痛に比較して腹痛が複雑な様相を示すのは内臓痛と連関痛の存在によるものである.
内臓痛は発痛刺激が主として内臓神経内に含まれる求心路を通つて感ぜられる痛みであるのに対して,体性痛は発痛刺激が脳脊髄神経線維を上行して生ずる痛みであるから,内臓痛は内腔臓器壁の伸展や痙攣が神経終末を刺激して起こるものであるのに対して,体性痛は皮膚の痛みと同様に,脳脊髄神経への圧迫,摩擦,捻れ,牽引などの機械的刺激のほかに,ブラジキニン,毒素などの化学的または細菌学的刺激によつても起こる.この脳脊髄神経終末は腹部では壁側腹膜,腸間膜根,横隔膜および小網に分布しているので,前述の発痛刺激がこれらに加わると体性痛をおこすことになる.
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