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特集 心臓と血管の外科
綜説
術後心合併症の予防,診断と治療
Prophylaxtis, diagnosis and treatment of postoperative cardiac complication
織畑 秀夫
1
Hideo ORIHATA
1
1東京女子医科大学外科
pp.445-451
発行日 1970年4月20日
Published Date 1970/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205073
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はじめに
手術に際して最も重大な危険は患者が手術のために死亡することである.その原因として種々の合併症が挙げられているが,最終的には心停止がくる場合である.心合併症は従来一般には心臓そのものに直接変化のくる場合を対象にしていたので,心合併症の頻度は比較的低いものである.しかしここではやや広い意味に解して,心臓以外の原因で術後に急速に心停止をきたす場合も対象にする.このような心合併症の危険を避けるために昔から多数の外科医が種々研究し,工夫してきたわけである.しかし外科手術のみが患者の生命を救う唯一の手段である場合にしばしば勇気を振つて手術を行なわなければならないことがある.この勇気が蛮勇でないためには,平生の経験と知識の上に患者を救う一つの治療法として患者を思う熱意から発するものでなければならない.そこでもし手術では救い得ないという判断があれば,その手術は行なわれないことが正しいわけである.一般に極めて少数ではあるが,安全と思つて行なわれた手術の後に急変をみることがあり,特に種々の原因による急性心機能低下が問題となる.
このような術後におこる心合併症について,その予防,診断と治療は,手術の危険防止の上からはなはだ意義のあることであり,かねがね術後合併症の予防に努力しているものの1人として,従来の心臓,肺,小児などの外科の経験を省みて最も重要と思う点を述べてみたいと思う.
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