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特集 手術と出血対策Ⅰ
頸部出血の対策—とくに甲状腺と頸動脈出血
Management of bleeding at neck surgery, with special reference to thyroid and carotid artery
藤本 吉秀
1
Yoshihide FUJIMOTO
1
1東京大学医学部第二外科
pp.201-205
発行日 1970年2月20日
Published Date 1970/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205034
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Ⅰ.甲状腺手術に関して
1.甲状腺の穿刺針生検
かつては硬く腫大した甲状腺腫に対しては,一律に甲状腺癌の疑いをおいて手術をしたものであるが,最近10年間に個々の甲状腺疾患の病態生理がかなりよくわかつてきて,とくに慢性甲状腺炎(広義の橋本病)や亜急性甲状腺炎はできるかぎり手術を避けて保存的治療を行なうようになつてきた.そこで臨床諸検査から明らかに甲状腺炎と診断できるものはよいが,多少とも疑いの残るものではかんたんな操作でできる穿刺針生検でもつて診断を確かめておきたくなる、ところがこの穿刺針生検で最も気になるのが出血の合併症である.
穿刺針生検の細かい手技については,最近別に記した1)ので参照していただくとして,出血を防ぐには,第一に穿刺針の刺入方向に注意することである.第1図に示したように,左手の第2指と第3指を甲状腺右葉の内側と外側にそれぞれあて,その2本の指の間に向けて,水平面から約40℃の角度で刺入すると,針は甲状腺右葉の実質内に正しく刺入され,総頸動脈や内頸静脈を損傷するようなことはない.
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