Japanese
English
論説
心血管系手術と術後消化管出血
Cardiovascular surgery and postoperative gastrointestinal bleeding
鮫島 夏樹
1
,
塚田 守雄
1
Natsuki SAMESHIMA
1
1北海道大学医学部第二外科教室
pp.1391-1402
発行日 1969年10月20日
Published Date 1969/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204961
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はじめに
火傷後に発生した消化管潰瘍のはじめての報告は1823年Swan1)によるといわれる.その後McFarlane2),Curling3),Billroth3),Perry andShaw3),Cushing4)などにより火傷や敗血症,手術侵襲あるいは外傷後にしばしば急性の消化管潰瘍,出血が発生することが知られるようになつた.1948年Selye5)はgeneral adaptation syndromeの概念を発表し,Stressに対する生体の病態生理学的反応の結果として多発性の消化管潰瘍が発生し得ることを示して以来,手術侵襲をはじめ種々のStress後にみられる急性消化管潰瘍はいわゆるStress ulcerとして一般に注目をあびるようになつた.
一方,慢性心疾患患者や,手術後,外瘍後,あるいはShock時に,腸間膜血管に閉塞が認められないにも拘らず腸管粘膜の出血性壊死を特徴とする重篤な合併症が知られ,acute postoperativeenterocolitis6),Pseudomenbranous enterocolitis7),necrotising enteritis8),acute hemorrhagic entero-colitis9),infarction of the bowel10),acute hemo-rrhagic necrosis11)などの多数の名称で呼ばれて来た.
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