第69回日本外科学会総会印象記
心臓外科領域
田辺 達三
1
1北海道大学医学部第二外科
pp.1277-1279
発行日 1969年9月20日
Published Date 1969/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204941
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第69回日本外科学会は榊原会長の慎重な配慮によって,第1日目の一般演題では新しい研究成果を主眼とする発表を,第2,第3日目は会員一同が武道館に会して共通演題,各領域における術後5年遠隔成績に関する依頼講演を討議,拝聴するという企画の下に行なわれた.著者は心臓外科領域についての印象記を依頼されたが,それにつけても日本外科学会に相当すると考えられるAmerican College of Surgeonsでは,権威ある指導者によつて発表講演についてWhat's new in surgeryのタイトルの下に厳しい論評がなされ,それは雑誌SGOに掲載されている.研究の意義と将来性についての討議,示唆が会期中に行なわれれば,より綿密に講演内容を評価検討することが出来,外科研究の進展に与る点が少なくないと老えられるので,日本でもかかる企画の盛んに行なわれることが期待される.若輩の著者にはとても,今日,最も著しい進展を続ける心臓外科領域全般にわたる研究のすべてを論じえないが,ここでは著者なりの印象を中心に述べ,責を果したい.
この領域では演題数からもうかがわれる如く,手術補助手段としての人工心肺法,低体温法の長短,改良をはじめ,先天的心疾患ではとくにファロー四徴症,後天的心疾患では弁膜置換手術,冠動脈の外科や心臓移植などを中心として,急速な研究の進展をみる反面,まだまだ慎重な検討を続けねばならない点も多い。
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