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特集 良性腫瘍
皮膚および皮下組織に発生した良性腫瘍
Benign tumors, occured from skin and subcutaneous tissue
石田 啓
1
Kei ISHIDA
1
1新潟県立ガンセンター新潟病院皮膚科
pp.1123-1133
発行日 1969年8月20日
Published Date 1969/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204920
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はじめに
皮膚腫瘍として取り扱われる疾患の中で,特に良性腫瘍については皮膚組織の広範にわたり,多種多様性に富み,その疾患名も枚挙にいとまのない程である.然るに悪性腫瘍,すなわち皮膚癌の如きものに遭遇することは他科の消化器系,呼吸系などから比べると全く稀有のものである.本領域における一つの特性は非腫瘍性疾患から悪性腫瘍性化し,また経過中良性腫瘍が悪性化に移行するものがあり,その移行の限界というものは細心の観察をしているにもかかわらず,治療に抗して取り返しのつかない症状の深刻さに直面することが再三ある,ために経過によつて変転し,悪性化するような腫瘍の予後判定などの最後のきめ手は,唯一つ組織学的検索にたよるより他はないようである.
とにかく広範で,多岐にわたつている皮膚腫瘍の診断にあたつて,皮膚科医はその臨床像を直接視診し,印象的な経験によつて決定するようである.ただ診断の一助として,広範な腫瘍群を発症系統的に幾つかに分類し,その個々の疾患についての特性を解明せんとする試みを,多くの先駆者によつて提唱せられたが,いずれも組織学的なまたは病理学者的な見解からであつた.これなど実地医家にとつてはその概念すら理解に苦しみ,もう少し視診上からの臨床像的な分類の簡明,ならびに解説が望ましいと常日頃念願していた.
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