Japanese
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特集 顔面損傷のファースト・エイド
眼窩骨折
Fractures of the orbit
田嶋 定夫
1,2
Sadao TAJIMA
1,2
1済生会神奈川県病院
2神奈川県交通救急センター外科
pp.1733-1745
発行日 1968年11月20日
Published Date 1968/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204730
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はじめに
顔面外傷は最近増加の傾向にある.われわれの交通救急センターにおける交通災害の統計では頭頸部外傷,四肢外傷に続き顔面外傷は23%で第3位を占めている.そのうち鼻骨単独骨折を除く顔面中央1/3骨折(下顎骨骨折を除外した顔面骨骨折)は全体の1.2%であつた.顔面外傷とくに顔面中央1/3骨折に関しては,従来十分なる関心が払われていたとは決していえないようである.中央1/3骨折は眼窩を含むものが圧倒的に多く,われわれが過去1年10ヵ月間に経験した顔面中央1/3骨折(鼻骨骨折は除外)の96症例(第1表)のうち78例(81%)はなんらかの形で眼窩に関係するものであり,眼窩に関連のないものは18例(19%)に過ぎない.
前記96症例の受傷原因としては交通災害が64例(67%)で最も多く,以下順に労働災害15例(15%),傷害9例(10%),スポーツ中の事故5例(5%),他3例(3%)である.96症例の顔面における合併損傷では眼球損傷が16例(17%)に達し,失明7,眼球内出血3,角膜損傷2,視神経損傷3.視力低下5例である.他に顔面広汎挫創17例(18%),涙系損傷9例(10%),内皆靱帯損傷6例(7%),合併した下顎骨骨折12例(13%)であつた.全身的な合併損傷では脳震盪症状を数日間示したもの,項部痛を数日間訴えたものが相当数みられたが,顔面骨折を惹起する外力を考えれば当然であろう.
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