Japanese
English
特集 鞭打ち損傷の問題点
いわゆる鞭打ち傷害—特に急性期,亜急性期の治療
Whiplash injury:especially about the treatment of its acute and subacute stage
伊丹 康人
1
,
三好 邦達
1
,
片山 国昭
1
Yasundo ITAMI
1
1東京慈恵会医科大学整形外科
pp.1671-1675
発行日 1967年12月20日
Published Date 1967/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204470
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はじめに
いわゆる鞭打ち傷害の大部分は,motoristのaccelerationないしdeceleration traumaであつて自動車乗車中のものが,追突または衝突,あるいは急停車などにより,重い頭部に加わつた慣性により,可橈性のある頸部に,介達力がはたらいておきた傷害であることには,誰も異論はないところであろうが,そのときにおこるであろう頸部の損傷は,項筋,前後縦靱帯,棘上棘間靱帯,椎間板,関節包,筋付着部付近での損傷と同部の出血,神経根,とくにC1/C2,Occ/C1,間,C5/C6,C6/C7,C4C5間での頸髄神経根ならびにその周辺の傷害と,それにともなう出血,浮腫などによる循環障害,脊髄や交感神経系の損傷,脳震盪,脳幹部損傷等いろいろな損傷がおこる可能性が考えられる.さらにまたこの傷害は,車の重量,速度,方向その他の追突時の状況,事故寸前の頸部姿勢などに左右されるので,case by caseでまことに多種多様な症状を示してくる.
したがつて,本傷害の治療は,まことに厄介であるともいえるが,症状により,大体主な損傷部位を想定することができるので,その症状に応じた治療法を行なうわけである.しかし,そこに問題があることは,どこまでを急性期,亜急性期とし,どこまでを陳旧慢性期とするかということである.
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