講座
頭部外傷後遺症の治療—〈その3〉脳および脳神経挫傷の後遺症の場合
景山 直樹
1
,
池田 公行
1
,
中島 正二
1
,
小津 泰
1
Naoki KAGEYAMA
1
1関西医科大学附属病院 脳神経外科
pp.1304-1312
発行日 1967年9月20日
Published Date 1967/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204409
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はじめに
外力作用がかなり強大で意識障害の程度が強く,その長さもかなり長時間におよび,脳や脳神経の脱落症状を呈するような中等度以上の閉鎖性頭部外傷および開放性脳挫創の症例は脳挫傷(Contusio cerebri)と総括される.
頭部外傷によつてひきおこされる症状の多くは脳,または脳神経の挫傷による巣症状で,その多くは受傷後数週間のうちにいちじるしく軽快していくものである.このことは,一見器質的と思えるような巣症状も,その大部分は短期間のうちに完全に機能を回復できる機能性障害であることを示している.一般に大脳半球の穹窿部に近い部分に由来する症状,たとえば運動や知覚の障害,失語症などは比較的回復しやすいが,脳底部に近い部分に由来する症状は回復しにくいものである1).
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