Japanese
English
特集 頭部外傷処置の実際
頭蓋内血腫の処置はどうするか
Surgical treatment of intracranial hematoma
小沢 和恵
1
,
高橋 勝
1
Kazue OZAWA
1
1京都大学医学部脳神経外科
pp.341-346
発行日 1967年3月20日
Published Date 1967/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204252
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
近年,日常生活の近代化と共に,頭部外傷患者の数は,増加の一途をたどり,さらに,そのさい発生する脳挫傷にせよ,あるいは,頭蓋内血腫にせよ,従来成書にある如き脳挫傷,頭蓋内血腫単独の典型的な症候と経過をとる症例は少く,多彩な症候を呈し,複雑かつ重篤な,急性頭蓋内血腫症例が,増加してきている.しかも,これらの診断と治療はしばしば寸刻を争うものであつて,頭部外傷の救急処置および診断について,十分,理解がないために,当然救命しえた患者が,不帰の転帰をとつたり,あるいは,助けえても,たえがたい後遺症を残すことになる.早期に頭蓋内血腫を発見し,早期に手術を行なうことが,治療上の要諦である.したがつて,綿密なる症状分析を行ない,多少とも頭蓋内血腫が,疑わしければ,ただちに,脳血管撮影,超音波により診断を決定しただちに,手術が,常に行ないうるように熟練しておくことが,肝要である.これらの問題について,すでに多くの人々によつて報告されているが1-7),今回は,第一線の外科医が,すぐにでも,役立つようにということで,病態生理学的な抽象的な説明をさけて,実際に頭蓋内血腫に対して,どのように処置するか,具体的に述べてみたい.
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.