海外だより
デトロイトのウエイン大学に学んで
千葉 智也
1
1東京女子医科大学附属心臓研究所
pp.1694-1695
発行日 1966年12月20日
Published Date 1966/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204176
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デトロイトといえば,誰でもすぐ思い浮べるのが自動車工業のことであろう.フオード,ジエネラルモータース,クライスラーなど巨星が顔をつらね,ここに来られる方々はたとえ医学関係の方でもまず第一にこれらの工場を見たいと申し出られるほどである.したがつて街も自場車を持つているということが前提としてつくられているから,人口180万,アメリカ第5番目の大都市とよばれるにしては公共交通機関の粗末なのはもつともで,筆者も渡米当時,土,日曜などバスを待つて30分以上も立ちんぼうをさせられたことがしばしばあつた.アメリカの貧困家族に対する福祉法が,ともすればゆきとどきすぎているという苦情をきいたが,ここでは電気冷蔵庫と共に自家用車を持つていることは,その適応を受けるに差支えないとされ,また借金の差押えの対象にもならないというから面白い.福祉法による食料配給切符を受けに行く貧しい人達が,やや旧式であるが,キャディラック,クライスラーなどに乗つていくのをみると,正に奇異の感にうたれる.
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