書評
—岩原 寅猪 片山 良亮 佐藤 孝三 監修 池田 亀夫 松本 淳 丸毛 英二 鳥山 貞宣 編集—整形外科診断必携
天児 民和
1
1九州大学
pp.856
発行日 1966年6月20日
Published Date 1966/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204015
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従来小さな整形外科の書物は2〜3出版せられてはいるが,それらは全く医師国家試験に合格するに必要な最低の知識をもりこんだものであり,大学教育を受ける大々にとつてはあまりにお粗末と感じるものが多い.今回の書物もそんなものではあるまいかと思いながら頁を繰つてみるとなかなかどうして細かいところによく気のついた書物である.各種の整形外科的疾患の診断の要点をきわめて簡潔に書いてあり,しかもこれらは古い教科書を要約したものではなく新しい感覚で処理せられている.ことにSyndromeを一括して第3章に集めてある.元来このような人の名前を冠した症状は決して好ましい表現の方法ではないが,現実にこれが多数使用せられているのでこれを簡単にひき出すにはこの書物は頗る便利である,しかし何と言つてもこの書物の一番の圧巻は第4章のSynopsisである.これは整形外科の色々の検査方法を一括して示してある.もちろんこのような方法は大きな書物では一応書いてあると思われるが,それを探し出すことはなかなか大変だろうし,さらにこの書物を詳しく読むと整形外科の専門書から少し外れた境界領域の検査方法も記載してある.
さて誰がこのような書物を書いたかと表紙を眺めると監修の3先生は整形外科の老大家であるが,実際の編集をしてある池田,丸毛、松本,鳥山の4氏のお知恵だろうと思う.
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