特集 癌患者の栄養問題
担癌体の栄養と腫瘍発育の問題
佐藤 八郎
1
1鹿児島大学医学部内科
pp.613-618
発行日 1966年5月20日
Published Date 1966/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203967
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癌細胞は旺盛な細胞分裂をもつて特徴づけられるが,その根底にある生化学的変化としては,異常な核酸合成と,これに伴う,旺盛な蛋白合成をあげることができよう.癌細胞が正常細胞と異なつた栄養要求性を示す事実は見出されていないが,その増殖に必要な栄養素材は,正常細胞と同帳,血流を通じて供給されるものである.しかしながら,栄養素材の摂取面から眺めた場合,癌細胞が栄養素を摂取栄養素に直接求めているか,あるいは,宿主組織の分解に求めているかは,問題の多いところで,腫瘍発育の時期によつても相異すると思われる.いずれにしても,腫瘍発育と栄養の関連は,蛋白代謝面より検討するのが最も妥当と思われるので,摂取窒素源の面から腫瘍発育の問題を追究してみた.
実験腫瘍としてはEhrlich腹水癌およびAH130腹水腫瘍を使用した.飼料としては,ラット飼養に適した蛋白のアミノ酸組成を示すRamas-armaなどの組成を参考にした.
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