他科の意見
麻酔科から外科へ(2)
岡田 和夫
1
1東京大学医学部麻酔学教室
pp.546-547
発行日 1966年4月20日
Published Date 1966/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203956
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前回は臨床医が遭遇するかもしれない救急蘇生対策につき述べたが,今回は,外科手術前後における患者管理の呼吸面を考えてみたい.Hypoxiaが麻酔の技術,知識,訓練が進んだ現在でも最も臨床上の大きな問題である(麻酔時には酸素欠亡の方が炭酸ガス蓄積よりは生命に対して危険緊急度大).一昔前のような悲劇的な事故は無くなつたが,診断法が発展するとかなりの程度のHypoxiaが麻酔時,後に存在することも明らかになつた.
麻酔死亡例,合併症の統計でも1500例に1例で死亡していることを示しているが(J.A.M.A.178:261,1961,Dripps, R.D.et al.),麻酔とHypoxiaの関連が注目されたのは,外科手術患者の対象が拡がつて老人,poor risk患者が多くなつてきて,この患者達がHypoxiaに対しては若年健康者よりは異常に反応するからであり,麻酔時は各種のHypoxiaに対する循環系の反応が麻酔剤で変化させられているからである.
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