手術手技 乳幼児の手術手技・2
乳児肥厚性幽門狭窄症に対するRamstedt手術
森田 建
1
,
東 悦雄
1
1日本大学医学部第一外科
pp.353-358
発行日 1966年3月20日
Published Date 1966/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203917
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はじめに
従来,乳児の肥厚性幽門狭窄症は本邦においては比較的稀とされていたが,ここ数年来,全国的に本症の手術例は著しく増加しており、かつて考えられていた程少ないものとは思われ難い形勢となつてきている.本症の治療上,保存的療法と外科的療法との何れをとるかについても従来から議論のあるところであるが,外科的療法の利点が広く認識されてきているのが世界的な趨勢であり,本邦においても小児外科の普及とともに本症の外科的療法の利点が一般に理解されるにつれて、本症の手術はさらに一般的なものとなるものと思われ,ここに取りあげてみたしだいである.
本症の手術々式としては,Ramstedtの幽門筋切開術Pyloromyotomyが簡便で,結果も優秀であり,内外を問わずもつぱら本法が用いられている.しかしながら,本症患児は持続する嘔吐によつて水分電解質失調および栄養障害をきたし,Poor riskの状態にあるのが普通であり,術前充分に全身状態の改善を計つておくことがきわめて重要であり,一面外科医の立場から早期手術が望まれるゆえんでもある.手術侵襲が少ないからといつて,患児の状態を重視することなく安易にメスを執ることは,予期に反した結果に終りやすいものであり,厳に戒しめられるべきことである.
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