Japanese
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外科の焦点
食道アカラシアについて
Problems on Achalasia of Esophagus
篠井 金吾
1
Kingo SHINOI
1
1東京医科大学
pp.1331-1336
発行日 1965年10月20日
Published Date 1965/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203773
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Ⅰ.アカラシアの概念
アカラシア(Achalasia)とはinability to relux(無弛緩症)という意味で,噴門の弛緩性の失われた状態のものに名付けられたのである.本症では,食道の種々の程度の拡張が必発するので,初期の文献(Zenker et al.1876)には特発性食道拡張症(Idiopathische Oesophagusdilatation,idopa-thic dilatation of the esophagus)として記載され,わが国でも明治の終り,大正の初めから同様の病名の下に報告されている.その他,本症はまた巨大食道症,(Megaesophagus),食道拡張症(esoph-agectasia)などとも記載されている.
本症の原因については,はじめは,噴門部の攣縮によつて起こるという考え方から特発性噴門痙攣症(Idiopathic cardiospasm)あるいは単に噴門痙攣症(Cardiospasm)と命名され,Allisonは胃食道接合部閉塞症(obstruction of gastroesophagealjunction)と呼びこれらの考え方は,先天性あるいは精神的要因,食道胃接合部の横隔膜支持部の病変,大動脈による圧迫,寒冷刺激などの種々な要因によるものとした.
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