海外だより
アメリカ南部での3年間
片山 勲
1
1慶応大学外科教室
pp.646-647
発行日 1965年5月20日
Published Date 1965/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203618
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「貧困に対する斗い」と称して,アパラチア山脈地域の貧乏人を向上させようという政治経済運動が,ジョンソン大統領の下で,いま盛んにすすめられています.その手初めとして,昨年の春大統領自ら視察に来たとき足場にしたのが,アパラチア山脈の南端,人口17万,アメリカ73位の部市テネシー州ノックスビルでした.一方,第2次大戦前から貧しい南部に産業を与えるということではじめられたTVA(テネシーヴァリーオーソリティによる電源開発計画)が大半完成し,ノックスビルを中心としてテネシー州,ケンタッキー州には数多くの大きなダムや豊かな人工湖があります.副産物として,景勝,魚釣り,ボート,水上スキーなど観光,スポーツの地として有名にもなつています.ノックスビルにこのTVAの本部があり,その郊外には,有名な核医学研究所やユニオンカーバイト原子力工場のあるオークリッジ市があります.従つて,ここノックスビルには云わばアメリカの先端的な近代科学の成果と,昔ながらの南部の貧困とが,混然と同居しているといつてよいでしよう.
昭和31年,32年,38年の計3年間,私はこの町のバプティスト病院で過しました.
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