Japanese
English
特集 脳・頸部・胸部の症例
いわゆる乳管拡張症
Mammary Duct Ectasia
松田 博青
1
,
天晶 武雄
1
Hakusei Matuda
1
,
Takeo Amaaki
1
1慶応義塾大学医学部外科学教室
pp.1245-1249
発行日 1964年9月20日
Published Date 1964/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203428
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はじめに
乳輪下の乳管の拡張と,これを取り囲む壁状の線維増生,その周囲の急・慢性炎症所見を主体とし比較的中年者に多く発生するといわれている乳腺の疾患は,1909年IngierによつてMastitis obliteranceとして発表されて以来,Payne, Strauss & Glasser(1943)も同様の名称を用い,またVaricocele tumor(Bloodgood,1923), Localized Lymphogranuloma (Küchens,1928),Plas-mocytoma of the Breast(Gronwalt,1931),Plasmacell mastitis(Cheatle & Cutler,1931, Adair, 1933),Comedomastitis(Dockerty & Cromer,1941)等さまざまな名称を付されてきたが,1951年および1957年StoutおよびHaagensenはこれらの名称をMammary DuctEctasia乳管拡張症として統一し,この疾患が独立した一つの良性疾患であると提唱した.この疾患の重要性は,上記のいろいろの名称が示すごとく,時に炎症々状が主徴をなし,また時に乳癌に類似した症状を呈するがゆえに,不必要に乳癌にたいするような根治的手術が行なわれる危険性のある点にある.
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