グラフ
Photographic & Radiographic Atlas of Anatomy〔1〕
横地 千仭
1
1横浜市大医学部第一解剖学教室
pp.708-712
発行日 1963年6月20日
Published Date 1963/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203090
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写真技術が昔とは比べものにならないほど進歩した今日でも,解剖図譜は相変らずほとんど大部分が絵で占められているのは何故だろうという素朴な疑問をたいていの人は持つているのではないだろうか.しかし試みに普通の解剖実習の材料を撮つてみるならば,得られた写真は自分が期待していたものとは遙かにかけ離れているのを見て落胆するに違いない.それほど難かしいものではあるが,私の知つている限りでは唯一の写真を主とした書物であるところのZuckermanの著書A New System of Anatomyでは写真に加筆することによつて絵と写真の中間的なものとしてこの困難を解決した.しかしそのことは同時にこれを絵でも写真でもないような中途半端なものとしてしまつた.かくして絵に較べると表現力において遙かに劣つた写真は解剖図譜には全く不適当な様にみえる.しかし従来のやり方にとらわれず,写真に適した材料のみを選び,写真に適した解剖法を工夫し,写真技術そのものにも特別な技巧を凝らせば絵には見られない迫力のある図譜も不可能ではない.すなわちこの場合の写真は絵と競合するものではなく,絵には得られない迫真性を示すことに意義を有するのであり,この方針にしたがつて作つたのがこのシリーズである.
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