特集 手こずつた症例―私の経験した診断治療上の困難症(Ⅱ)
乳児の外科
若林 修
1
,
森田 建
1
1日本大学
pp.739-743
発行日 1962年8月20日
Published Date 1962/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202941
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はしがき
私共が小児外科に興味を抱き,この方面の診療に従事して以来,約4年間の歳月を経過した.その間,小児外科的疾患といわれるものを大凡一通り経験し得たが,この私共の経験からみると,2,3歳以上の幼児においてはある程度の小児外科的知識を持ち,適切な麻酔や術前術後の管理を行う限り,予想以上の好成績を収めることができることを知りえたが,新生児,幼若乳児のように,患児の年齢が著しく幼い場合には,未だ種々の問題があり,診断上あるいは治療上困惑を感じた症例も少なからず経験した.これらの困難を感じた理由について,今になって顧りみると,当時の私共に知識や経験の少なかつたことによることも多いが,またなかには現在でもなお明らかにし得ない点もあるので,その困難を感じた理由について読者諸氏の共感を呼び,御参考に供し得ると考えられる症例を掲げることは,なかなか困難であるようにも思われる.
しかし,最近本邦においても新生児や乳児の開腹症例は増加する傾向にあり,また特発性総胆管拡張症や先天性胆道閉鎖症は本邦においても比較的症例数に恵まれているものであるので,ここでは乳児開腹術後の創破裂の問題と胆道吻合手術後の上行感染の問題とを取挙げ,私共の経験した症例について述べてみたい.
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