特集 手こずつた症例―私の経験した診断治療上の困難症(Ⅰ)
熱傷の局所予後
大森 清一
1
,
倉田 喜一郎
1
1東京警察病院形成外科
pp.608-611
発行日 1962年6月20日
Published Date 1962/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202923
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まえがき
二度にわたる世界大戦により,熱傷による多数の犠牲者がでたことは衆知のとおりであるが,現在の平和な世の中にあつても,石油,ガス,電気,原子力等の熱源があり,また可燃性の建物のあるかぎりは,家庭生活の中での小さな熱傷から,高度産業化された工場での大惨事による熱傷まで,その犠牲者のあとはたたれていない.
熱傷の恐しさは,生命の危険にさらされるということはもちろんであるが,たとえ生命をとりとめても,後遺症として,瘢痕による機能障害や外観の変形,醜形等の悲惨な結果をきたすことであり,わたくしたちの形成外科に来院するこれらの不幸な患者の数はあとをたたない.したがつて熱傷の治療はきわめて重要である.しかし,熱傷の治療とくに局所療法については,まだ一貫した治療法の結論がでていないのが現状である.
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