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集談会
橘 貞亮
1
,
牧野 勉
1
,
広野 禎介
2
,
丹保 司平
3
,
村上 誠一
1
,
向 永光
1
,
三浦 勇
2
,
深谷 月泉
1
,
大田 英夫
4
,
中川 栄一
4
,
仲井 信雄
4
1金大第一外科
2金大第二外科
3丹保医院
4市立小松病院
pp.235
発行日 1962年3月20日
Published Date 1962/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202873
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第111回北陸外科集談会
1.胃扁平上皮癌の1例
胃扁平上皮癌の多くは食道癌の下方進展とみなされるものが多いが,私共は幽門部粘膜に原発した胃扁平上皮癌の1例を経験したので報告すると共に,その組織発生について文献的考察を加えた.57歳男子の外科的摘出標本で,その組織像は角化を伴う扁平上皮癌の像であるが一部に円柱状腺癌の像をも呈し腺表皮癌と診断すべきものである,内外文献を通じ記載の明らかな胃扁平上皮癌は30例あり,私共の教室においては胃癌症例665例中私の報告例を加え8例でその比率は1.5%となる.扁平上皮癌の組織発生については迷芽説,化生説,未分化基底細胞よりの発癌説があるが前二者が有力とみられ,症例によつてそれぞれの立場を支持する組織形態学的特徴を観察し得る.今回私共の経験した1例は定型的な扁平上皮癌の有勢像を示すにもかかわらず,一部に腺癌構造を観察する点から.腫瘍発生過程における化生の機転を重視せねばならないと考える.
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