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綜説
脳血管撮影について—Per-Abrodil-Mの使用経験
Clinical study on the cerebral angiography:Using Per-Abrodil-M 60% solution
斉藤 義一
1
Yoshikazu SAITO
1
1鳥取大学桑原外科
pp.807-814
発行日 1960年10月20日
Published Date 1960/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202651
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緒言
脳神経研究の進歩発展,疾患の増加,と共に脳血管撮影の要求される機会も甚だ多くなつてきた.Egas Moniz(1927)の脳動脈撮影の発表,更に清水教授の経皮的施行(1937)以来広く普及され著者も日常この経皮的方法により行つて未だ血管露出の要にせまられたことはない.一方造影剤の進歩により多数の薬剤の登場をみるが要は生体殊に中枢神経系に無害で非刺戟性で造影能の優れることが理想である.Sugiuron(Disodium 1-methyl-3.5-diiodo-4-pyridone-2.6-dicarboxylate,33%水溶液)が殊にその安全性において優れることは衆知の通りであるが,安全性に満足すれば一層高濃度を希望して造影能力を高めたくなるのも止むを得ないことといえる.
脳血管撮影の合併症としては死亡を最大の障害として半身麻痺,知覚異常,失語症,精神錯乱,痙攣発作,頸動脈栓塞などが永続的に或いは一過性に現われ更に頭痛,悪心,嘔吐を一時的にみるなどその種類,程度において甚だ多彩を極めるが症例の選択,手技上の欠陥による所も多い一方,使用造影剤の量,濃度,回数などの影響はかなりに決定的要素を含むものといえる.
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