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特集 外科的・内科的療法の限界
慢性胃炎—内科的療法の限界について
Gastritic chronica
沢田 藤一郞
1
Toichiro SAWADA
1
1九州大学医学部第三内科
1Internal Medicine. Kyushu University School of Medicine
pp.427-432
発行日 1958年5月20日
Published Date 1958/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202185
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上腹部痛,食慾不振,胃部膨満感,曖気,胸焼等,慢性不定の胃症状を訴えて内科医を訪れる患者は甚だ多い.かゝる際にレントゲン検査,胃液検査或は触診等で胃十二指腸潰瘍や胃癌とはつきり診断出来ない様な場合には従来やゝともすれば,"慢性胃炎"と云う診断で片附け,その治療もなおざりになる憾みがある.近時,胃鏡検査や胃生検等の診断技術が進歩して胃粘膜の肉眼的乃至組織学的変化が生体について検索出来る様になり,又外科的療法が積極的に行われて新鮮な材料が多数得られる様になつたため,これまで不明確であつた本症の概念も次第に確立されつゝある.
一方,慢性胃炎が潰瘍や癌の発生母地として重要な意義を有する事は,特に切除胃の組織学的検索からも強調されて居る所であつて,この点に鑑みても本症に対する診断及び治療方針を明確にすることは,本症を診療することの最も多い我々内科医の義務と考える.
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