EDITORIAL
慢性胃炎
三好 秋馬
1
1京大脇坂内科
pp.469
発行日 1968年4月10日
Published Date 1968/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202167
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胃は摂取された食物,嗜好品,さらにはいろいろの薬物を一度停留する使命をもつかさどり,それらによつて障害を受ける可能性がある。ある胃粘膜の変化に対して生理的胃炎(physiologic gastritis)という記載もある。この生理的胃炎をこえた障害が急性,慢性胃炎と組織学的に考えられるが,暴飲,暴食,抗リウマチ剤,化学療法剤,抗生物質,抗がん剤などの長期服用によつて惹起されるであろうことは容易に首肯される。これらは外因性胃炎といわれる。
また,胃は強い酸を分泌する器官である。しかしながらmucous barrierによつて強酸からは生理的に守られている。いま,胃に前述の侵襲が加わればbarrierは破られ,胃粘膜は酸によつて障害される。このような外因性胃炎,自己の酸による胃炎はたとえその攻撃がくりかえし加えられたとしても,組織学的には表層の急性炎症であろうと思われる。
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