Japanese
English
外科と薬剤
手術中循環障害に対するCarnigenの使用経験
The use of Carnigen for the disturbance of blood circulation during the operation
田中 早苗
1
,
松田 住藏
1
,
三村 久
1
1岡山大学医学部第一外科教室
pp.85-89
発行日 1958年1月20日
Published Date 1958/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202123
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手術中および術後の循環虚脱にたいして,輸血輸液についでAdrenaline,Ephedrine,Noradrenaline,Neosynephrine(Neo-Synesin Kowa)などの昇圧剤および酸素吸入などがおこなわれる.これらの薬剤は末梢血管を収縮させて血圧を上昇させるものであるが,理想的には末梢血管収縮をきたさず血圧上昇をきたし,循環をよくすることによつて組織の酸素供給を十分にし,しかも効果が長く続く薬剤が要求される.かような要求にもとづいて作られたCarnigenは種々の循環調節障碍にたいして内科方面では広く使用され好結果をえており,多くの文が見られる.即ちE. Lindnerはモルモットの心臓でおこなつた研究で冠動脈血流量の増加と心筋の収縮力の亢進を認めており,ヒスタミン虚脱や失血虚脱に陥つている犬の血圧を上昇させ,ほとんど正常の価に復することを確めている.その作用機構としてLöschはメタ細小動脈の毛細管前小動脈の収縮と小静脈の緊張低下,すなわちO. MüllerのいうSpastischatonischer Symptomenkomplexをのぞき,他方冠状動脈の拡張と血液貯蔵器よりの血液駆出により,心筋の血流不足を除くであろうと考えられるといつている.
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