Japanese
English
薬剤
Carnigenの急性低血圧症への応用
Clinical Experiences of Carnigen on Acute Hypotensive Cases
楊 大鵬
1
,
北村 勉
1
,
高津 郁男
1
,
皆川 博
1
,
北代 勇夫
1
,
林 金土
1
,
亀井 良次
1
Yo Taiho
1
1大阪市立大学医学部沢田外科
1Department of Surgery, Osaka City University Medical School
pp.781-785
発行日 1960年9月20日
Published Date 1960/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202647
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緒言
外科に限らず臨床的に遭遇するいわゆるショックと称せられる状態は,その一部は心原性のものもあるが,大部分は血原性の中に含まれいわゆる末梢性循環障害で,急激な血圧降下を主徴とし,体内の血管床の容積とそれを流れる血液量の不均衡が種々な原因で起ることは一般に知られている事実である.ショックの成因として種々な説があげられるが,畢竟その本態は生体内の血液分布の変動であり,血管トーヌスの低下により来る血液の鬱滞,他方では血液供給の減じた貧血せる領域が生ずる為である.これらの循環失調の状態が持続する場合には,生命保持上重要な器官が貧血を増し,二次的にAnoxiaに陥り,呼吸循環中枢の機能不全,あるいは心臓を中心とする循環不全をも併発して来る.ショック時の代謝異常はこの血液分布の変動と因果関聯してこの代謝産物がさらに循環を悪くし,ショック状態をますます重症化し,何としても回復できない全生活機能の衰弱へと移行することは当然である.
従つてその治療対策としては,絶対的あるいは相対的に減少せる有効循環血液量を適正な量に迄補給してやることと,他方ではこの絶対的あるいは相対的に拡張した血管床を循環量と釣合うように収縮せしめることは極めて重要なことである.
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