Japanese
English
綜説
上腕骨顆上骨折に対するキルシュナー鋼線固定法の考察
An Inquiry into Kirschner-wire transfixation for supracondylar fracture of the humerus in childhood
橋倉 一裕
1
,
千田 武
1
,
伊藤 邦彥
1
,
米田 忠久
1
,
松丸 禎夫
1
Kazuhiro HASIKURA
1
,
Takeshi SENDA
1
,
Kunihiko ITO
1
,
Tadahisa YONEDA
1
,
MATSUM ARU Sadao
1
1國立東京第一病院整形外科
1The first National Hospital of Tokyo
pp.81-85
発行日 1954年2月20日
Published Date 1954/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201376
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まえがき
日常屡々経驗する小児の上腕骨顆上骨折に対する治療法は殆んど完成の域に達したかの感を有するが実際には神中氏が指摘する如く本骨折は整復及び固定に充分の経驗技術を要するために変形治癒が少なからず見られ,必ずしもすべての症例に於いて満足すべき成績が得られていないようで,片山氏も尚お改良の余地を有する治癒域であろうと述べている.周知の如く骨折に対しては原則的に非観血的整復固定法を行うべきであるが,治療の促進治療期間の短縮並びに継発的合併症の予防のためにはより合理的効果的療法を取らなくてはならない.最近屡々施行されている骨折固定法の一つとしてキルシュナー鋼線固定法が應用され,Dieterle Murray, Telson, Wheelden,天兒,水野,宮城,永井,原田等の諸氏は大腿骨頸部,下腿骨,鎖骨,上腕骨,前腕骨,顔面等の骨折に対して経驗し,良成績を挙げている.然し上腕骨顆上骨折に対するキルシュナー鋼線固定の應用経驗例は少く,非観血的にはSwenson A. L(1948)が應用し,観血的にはDonchess J. C.(1949)が後方縦切開より侵入整復固定例を発表して居り,更に松野奥田(1952)は5例の経驗報告を行つているが,いづれも固定の確実性と早期運動訂能の利点を挙げている.吾々も同様な方法で昭和26年来観血的整復を要する11例について経驗し,比較的良成績を得たので2,3の考察を行つて見た.
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