Japanese
English
症例
慢性腸間膜動脈性十二指腸閉塞症1新手術法「十二指腸轉位術」の提唱
A case of chronic arteriomesenteric duodenal obstruction, successfully treated by translocation of the duodenum. (a new operative method)
工藤 惟之
1
,
西脇 勉
1
,
三吉 秀彥
1
Koreyuki KUDO
1
,
Tsutomu NISHIWAKI
1
,
Hidehiko MIYOSHI
1
1群馬縣太田市太田病院外科
pp.29-32
発行日 1954年1月20日
Published Date 1954/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201361
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Rokitansky(1863)がはじめて腸間膜根の圧迫による十二指腸閉塞症を発表して以来腸間膜動脈性十二指腸閉塞症が世に知られたのであるが,その成因に関しては古来Habererの代表する機械的圧迫説とMelchiorの代表する胃十二指腸急性アトニー説とが対立して未だに論議が絶えない.多くの急性型報告例を見ると胃十二指腸の極度の膨満と上腸間膜動脈の走行に一致する閉塞とが認められて,かゝる末期では機械的閉塞と胃腸管麻痺との孰れが先行し,孰れが主役を演じたかを判別し得ないことが多い.そこでこの樣な劇烈な症状を呈しない以前の慢性型の存在が重要な意味を持つて来る.
私共は先に18歳女に発生した急性腸間膜動脈性閉塞症の1症例について雜誌外科上に報告すると共に些か考察を試みたが,その後偶々本症の慢性型に遭遇したのでその特異な解剖学的所見を報告すると共に,これに対して行つた新手術法「十二指腸轉位術」を提唱して諸先輩の批判を仰ぐものである.
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