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結核性潰瘍性気管支炎の治療—特に肺結核外科療法の前處置に就て
粟田口 省吾
1
,
梅塩 毅一
1
Shogo AWATAGUCHI
1
,
Koichi UMISHIO
1
1東北大學抗酸菌病研究所
pp.62-64
発行日 1952年2月20日
Published Date 1952/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200969
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結核性気管支炎を合併せる肺結核患者において発赤腫脹等の所謂粘膜下気管支炎は外科療法により肺病巣が閉鎖されゝば比較的容易に治癒するが,潰瘍性気管支炎は外科療法によつて肺病巣が閉鎖されても必ずしも気管支病巣の治癒をみず,喀痰中の結核菌の消失をみないことが尠くない.のみならず気管支の潰瘍性病巣,夫れ自身が有力なる感染源となる.又潰瘍性気管支炎は治癒に際して屡々気管支の瘢痕性狹窄を起す事がある.拡張不能な線維性の気管支狹窄に対しては肺虚脱療法は危險であるから肺切除術を適用すべしとされているが,肺切除術において気管支を切断しようとする部位或はそれよりも中心側に潰瘍性病巣があれば術後気管支瘻を形成する危險があるので肺切除術も禁忌である.從て肺結核外科における潰瘍性気管支炎の意義は大きい.近来ストマイ,パス等の化学療法が粘膜結核に著効がある事が知られ,結核性潰瘍性気管支炎の治療にも旺んに應用されているが,從来の硝酸銀液塗布療法や電気焼灼法と化学療法との併用療法が一層効果的なようである.以下我々は当研究所に於て他の條件から外科的療法が指定せられたが潰瘍性気管支炎を合併しているために,そのまゝでは外科療法が禁忌とされた10例に就て術前潰瘍性気管支炎の治療を実施した経驗に就て次に述べる.尚療法としてはストマイの局所噴霧療法,筋肉内注射療法,パス,TB-Iの経口的投與及び從来の硝酸銀液塗布療法,電気焼灼療法を單独又は併用して行つた.
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