Japanese
English
今月の小外科・12
急性化膿性淋巴腺炎
Acute Suppurative Lymphoadenitis
高田 善
1
Zen TAKADA
1
1慈惠會醫科大學
1Jikei-kai Medical College
pp.143-144
発行日 1951年3月20日
Published Date 1951/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200787
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- Abstract 文献概要
急性化膿性淋巴腺炎はわれわれ外科領域にたづさわるものゝ日常最も多く取扱う疾患の一つであつて,今さらこゝに更めて取上げるほどのこともないように思われるのであるが,前々から編集者からの依頼もありまた日頃多くの患者に接して時に考えさせられることもないわけではないのであえてペンを取ることにした.なおこの疾患は單純性淋巴腺炎に引続いて起るものであり,また漿液性蜂窠織炎性淋巴腺炎の形をとることもあるからこれらについても併せて述べることにする.
周知のように,淋巴腺はその支配下にある根源領域から絶えず組織液たるリンパを受入れると共に輪出管を通じてそれを更に上位の淋巴腺に或いは血管に送るのであるが,その間喰細胞や抗体の作用によつてリンパ中の細菌や毒素を濾過してそれらを無毒ならしめるか或いは毒力を減弱せしめる作用がある,いわば生体防衞器官の一つである.從つてその根源領域の炎症竈から細菌や毒素の侵襲を受ける場合があつでも淋巴腺の生体防衞作用によつて実際には臨床症状を起さないか或いは炎症を起しても原発した炎症竈に適当な処置を加えれば淋巴腺の炎症も自然に消退する程度のことが多い.しかし原発竈が適当に治療せられない時は急性單純性淋巴腺炎を起して,局所に腫大した淋巴腺を触れ,彈力性硬で圧痛があり時に自発痛又は運動痛がある.淋巴腺周囲炎はないから皮膚,下床共に癒着なくよく移動する.時に輸入淋巴管炎を件うことがある.
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