Japanese
English
特集 Cancer・1
尿路と精液路の癌—主として最近の進歩について
Cancer of Urinary and Seminal Tracts : Chiefly, Recent Advancement of the Study of the Above
市川 篤二
1
Tokuji ICHIKAWA
1
1東京大学秘尿器科
1Tokyo Univ., Med. School, Dep't of Urology
pp.203-210
発行日 1950年4月20日
Published Date 1950/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200635
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はしがき
筆者はこゝにはじめて上記のような表題を用いてみた. 從来ならば泌尿生殖器系の癌とかくところであるが,そうかくと女性の生殖器を含まないことを断わらねばならない. 泌尿器科学は泌尿器と,男性生殖器とを対象とした学問であるから"泌尿器科学と癌"というような表題でも理論的にはよい訳であるが,どうせ新しい文字を使用するならば,内容が具体的に示される方がよいと考えて,尿路urinary tract;Harnwegeと精液路seminal tract;Samenwegeという文字を選んだのである,これで男女共通の泌尿器と,それから男性の生殖器のみを表わすことゝし,今後も此の方針をつゞけてみたい考えである.
此の領域に於てもかなり多く惡性腫瘍がみられるが,その分類に関しては諸家の考えが悉く一致しているわけではない. 腎臟に於けるGrawitz腫瘍と癌との関係,睾丸に於けるセミノームと癌との関係の如きはその代表的なもので,その上同じ標本が見る人の異るに從つて癌と診断されたり癌でないと診断されたりすることがあり得るのである.
Copyright © 1950, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.