Japanese
English
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稀有なるアメーバ性潰瘍性孤在性結腸腫瘤に就て
On the Rare Case of a Amoebic Uleerative Isolatad Tumor of Colon.
丹野 與三太
1
,
高橋 吉郞
1
Yosata TANNO
1
,
Yoghiro TAKAHASHI
1
1新潟鉄道病院外科
1Niigata Tetsudo Hospita
pp.410-412
発行日 1949年8月20日
Published Date 1949/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200501
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緒言
今次戰爭に際して南方及び大陸に應召した將士中,アメーバ性赤痢に罹患したものは実に莫大なる數にのぼるものと想像せられる。また本疾患を直接及び間接の原因として倒れた患者の剖檢例も夥しい數に達することも想像に難くなく,其等に就ての貴重な研究も將耒多數発表せられることと期待される。而しながら現在終戰以耒混沌とした世相を反影して,此の方面に幾多新知見のあるであろう業績も発表機関が少なくて徒に埋れており,現在我々が知ることの出耒ぬのは実に遺憾である。余等が以下述べることも將耒は何等珍らしくもない症例となるかも知れぬが,少なくとも現在に於ては稀有なることと思われるので禿筆を呵して報告する。
從耒はアメーバ病原虫による單独の明確な腸壁の腫瘤形成は極めて稀であるとされておつた。余等は最近に腸間膜腫瘍と診断して開腹したところ,そうではなくて横行結腸脾屈曲部に於る肉腫を想わしめる結腸腫瘍を得たので診断確定の必要から該腫瘍摘出標本に就て新潟医科大学病理学教室に病理組織学的檢査を依嘱したところ,以外にも該腫瘍は肉腫に非ずしてアメーバ原虫に因る腫瘍状に肥厚した炎衝性結締織性腫瘤の形成であることが判明したので以下概略を述べる。
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