臨牀例
横行結腸に發生せる慢性單純炎症性腫瘤の1例
高嶺 登
1
1千葉醫科大學河合外科教室
pp.156-159
発行日 1948年4月20日
Published Date 1948/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200314
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緒言
腹内腫瘤の診斷は時に甚だ困難なことがある。假令それが腸管腫瘤と判明しても更にその本態を明かにすることの難澁なものが少くない。、腸管に於る慢性單純炎症性腫瘤は術前診斷は必ずしも容易でなく興味ある問題を提供する。既に多數の學者に依り精細な觀察が行はれ特に廻盲部,S字状結腸に發生したものゝ報告例は可成りにある。しかしその發生頻度は寧ろ稀であり,就中横行結腸に發生したものに至つてに非常に稀である。
最近我が教室に於ては術前診斷に迷はされた結腸腫瘤で,開腹の結果も亦癌腫を疑ひ,しかも一般結腸癌とは趣を異にし,兎も角も癈用状態にある結腸を廣汎に互つて切除し治癒せしめ得たが,其の切除標本の組織學的檢査の結果慢性單純炎症性腫瘤であることを確め得た興味ある症例を經驗したので茲に報告することゝした。
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