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跟骨々折に對する觀血的療法の問題
神中 正一
1
1九州大學醫學部
pp.1-6
発行日 1947年11月20日
Published Date 1947/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200267
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跟骨々折の機能的豫後は一般に甚だよくない。昔の消極的非觀的療法から現代の積極的な非觀血的療法(例へばBöhler, Westhues, Herman等)に轉換して餘程成績が向上して來たが,未だに滿足すべき所までに達してゐない。特に跟骨體部の骨折中,跟骨々折のほゞ半數に近い頻度を占める後方距跟開節が骨折脱臼したものに於て特に成績が面白くない。そこで非觀血的療法一點張りの從來の獨逸流から脱却して非觀血的療法では目的を達し得ない症例に觀血的療法を施してはどうかといふ問題が當然起つて來る筈である。Böhler自身も或種の跟骨々折に對しては非常に苦心して非觀血的療法主義を固執してゐる,が未だ充分の成果を擧げて居らず,又氏の法は非觀血とは言ひながら相當猛激な外力を加へるから,寧ろ觀血的療法の方が侵害が少いのではないかと思はれるものがある。跟骨體部の陳舊變形骨折には以前から獨逸でも變形矯正手術が行はれてゐるが,これも決して滿足すべき成果を得てゐないのである。さて此問題に先鞭をつけたのはフランス學派であるから,先づフランス外科の意見を述べてみやう。
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