臨牀例
腸管嚢腫樣氣腫の1治驗例
加藤 正勝
1
1日本醫科大學松倉外科教室
pp.45-49
発行日 1947年10月20日
Published Date 1947/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200265
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緒言
腸管嚢腫樣氣腫(Pneumatosis cystoides inte—stinorum)1825年Meyer氏が初めて豚の小腸に無數の瓦欺を含める小嚢文胞あるを發見し之に與へた名稱で,人間の小腸に之と同樣の嚢腫を觀たのは,1876年Bang氏を以て嚆矢とする。氏はS字状部軸捻轉症に於て死亡した婦人の屍體解剖の際本症を偶然發見し,Pneumatosis cystoidesintestinorum hominisなる名稱を以て報告した。續いて1899年Hahn氏は幽門狹窄を有する男子の開腹術に際し大腸並に小腸の大部に亙る高度な氣泡の集簇發生した症例に遭遇した,是即ち生體に於て發見せられた最初のものである。爾來本症は諸國に於て發見せられ屡々報告せられたが尚稀有なる疾患の域を脱しない。今日迄内外文獻に報告せられた余の調査に於て總數180餘,その内本邦のもの51例である。余は最近松倉外科教室に於て極めて廣範圍且高度な本疾患を幽門狹窄症手術に際し發見したので報告する。
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