FOCUS
膵癌補助化学療法の新しいエビデンス
上坂 克彦
1
,
福富 晃
2
,
朴 成和
3
Katsuhiko UESAKA
1
1静岡県立静岡がんセンター肝胆膵外科
2静岡県立静岡がんセンター消化器内科
3聖マリアンナ医科大学腫瘍内科
pp.1116-1118
発行日 2014年9月20日
Published Date 2014/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407105184
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はじめに
膵癌はわが国の癌による死因の第5位を占め,今なおその発生数が増加の一途をたどっている.膵癌に治癒をもたらすことのできる治療法は,根治切除のみであることは周知の事実である.しかし,手術のみでは膵癌の術後5年生存率はわずか10%程度にとどまる1,2).これまでに,術後生存率の改善をめざして,様々な術式の改善が試みられてきた.とりわけわが国では,拡大後腹膜郭清が熱心に行われてきたが,その効果はわが国自身で行われた臨床試験によって否定されるに至った3).
これに対して,膵癌の術後補助化学療法の分野では,過去10年間にめざましい進歩が報告されてきた.膵癌診療ガイドライン2013年版では,臨床試験に関する最新のデータに基づいて,術後補助化学療法に関する推奨も改訂されている4).本稿では,膵癌の術後補助化学療法の到達点と今後の展望について概説する.
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