書評
―位藤俊一(編)―乳房画像診断最前線―超音波診断を中心に
光山 昌珠
1
1北九州市立医療センター
pp.1077
発行日 2013年9月20日
Published Date 2013/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104733
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超音波診断を中心に,現時点での乳房の画像診断における最新の情報を網羅した書籍『乳房画像診断最前線』が出版された.りんくう総合医療センター外科主任部長の位藤俊一氏が編集しているが,日本におけるそれぞれの分野の専門の医師・検査技師の第一人者が執筆担当しているのみならず,医療機器の開発に携わっている研究者も担当していることもユニークであり,最前線と名付けている所以と思われる.
本書はⅠ~Ⅵ章で構成されており,第Ⅰ・Ⅱ章は総論で,乳房の画像診断の新しい流れと病理を解説しており,とくに病理では基礎的な知識と悪性例を中心とした代表的な乳腺腫瘍を解説している.超音波のみならず,画像診断に携わる医療従事者にとって,画像から組織型を推定しながら良・悪性診断に至るために,組織型をよく理解することが必修条件である.第Ⅲ章では超音波検査のBモード評価の基本的な事項,カラードプラ検査,エラストグラフィ,3D/4D超音波や保険収載となった造影超音波検査,リアルタイム超音波断層検査を分かりやすく解説している.また,現在乳がんの手術においてはセンチネルリンパ節生検が標準であり,転移陰性であれば腋窩リンパ節非郭清となり,患者のQOL向上に貢献している.その同定法や手技などについても述べており,画像診断者も理解しておく必要がある.第Ⅳ章では超音波以外の代表的なモダリティとして,マンモグラフィ,CT,PET/CT,MRIがそれぞれの画像を用いて,基本的な事項について触れている.
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