連載 とびら
藤の花
河尻 博幸
1
1愛知医科大学病院
pp.741
発行日 2024年7月15日
Published Date 2024/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551203506
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私は岐阜県の山間部で生まれ育ちました.子どもの頃の遊びといえば,山で探検をし,時には野イチゴやアケビを見つけ,川で魚とりをすることでした.遊び疲れて腰掛ける自宅の濡れ縁からは,庭や畑,野辺から里山,そして奥山へと続く風景が広がっていました.春になれば木々の間にヤマザクラ,少し遅れてヤマツツジが咲き,新緑の季節には若葉のみずみずしく澄んだ淡い緑が広がり,だんだん深まる夏,秋を迎えて紅葉に染まり,そして雪化粧をしていく.そんな山の様子はいつも私を清々しい気持ちにさせてくれました.林業も今に比べれば盛んだったようで,山の谷間にワイヤーロープが張られ,伐採された木々が空中をロープウェイのように運ばれる様子には興味を引かれたものです.
今は少し離れた場所に暮らしていますが,実家へと帰省する際には慣れ親しんだ山の風景が見られることも楽しみの一つです.そして時には発見があることも.
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