書評
―森 正樹,土岐祐一郎(編)―レジデントのための―消化器外科診療マニュアル
北川 雄光
1
1慶應大・外科学
pp.376
発行日 2013年3月20日
Published Date 2013/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104515
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本書をまず手に取ったとき,研修医時代に白衣のポケットに入れていた『ワシントンマニュアル』を懐かしく思い出した。手触り,重さ,色合いから想起したのだが,編者である森正樹教授,土岐祐一郎教授の序文を拝読し,編者がこれを意図して見事に実現していることにまず驚かされた。
医療現場最前線の「常識」も年々進化し,年配の指導医にとっては教育している内容が本当にup to dateなのか? エビデンスはあるのか? ふと不安になることがあるのではないだろうか。日本において消化器外科医は,手術関連の知識・技量はもとより周術期全身管理,集中治療,集学的がん治療,感染症対策など極めて広範な知識・技術が要求される。このすべてにおいて,一人の指導医が最前線の知識をもってレジデントを教育していくことは必ずしも容易でない。本書は,大阪大学大学院消化器外科関連のそうそうたる執筆者らが,その洗練された知識のすべてを投入した珠玉の一冊として編集されている。
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