書評
―濱 敏弘(監修) 青山 剛,東加奈子,川上和宜,宮田広樹(編)―がん化学療法レジメン管理マニュアル
安藤 雄一
1
1名大病院・化学療法部
pp.377
発行日 2013年3月20日
Published Date 2013/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104516
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全国の病院で外来化学療法室が稼働し,エビデンスに基づいた治療レジメンが登録され,横断的なキャンサーボードやカンファレンスが開かれるようになった.分子標的治療薬によりがん薬物療法の治療成績が向上し,治療適応の判断から副作用マネジメント,患者や家族の心のケアに至るまで,専門的な知識と豊富な経験を持つ専門家(プロフェッショナル)の存在はもはや不可欠になっている.薬剤師の職域は日々の処方監査と疑義照会からはじまり,服薬指導,抗がん薬の調剤,レジメンの管理へと広がった.さらに診療現場やカンファレンスでは医師や他職種と意見を交えながらチーム医療に積極的に参加する薬剤師も増えてきた.
一方で,がん薬物療法という共通の目的のために多職種がそれぞれの専門性を発揮するのがチーム医療の本質であり,ただ役割分担を決めて作業すればよいというものではない.評者は常日ごろより,薬剤師の方々は薬剤の適正使用から科学的な整合性の吟味,臓器障害や併存症を持つ患者の用量や薬剤選択,薬物相互作用の可能性など他職種とは異なる独自の視点を大切にして欲しいと思っている.刻々と変化するがん薬物療法を取り巻く状況を踏まえると,このたび本書が上梓されたのは時流なのであろうか.
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