特集 外科医のための最新癌薬物療法
Ⅰ章 臓器別薬物療法
4.胃癌―③進行・再発(切除不能を含む)治療
朴 成和
1
Narikazu BOKU
1
1聖マリアンナ医科大学臨床腫瘍学講座
pp.110-118
発行日 2011年10月22日
Published Date 2011/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103791
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
レジメン選択のアルゴリズム
アルゴリズム
切除不能・再発胃癌に対する標準的な1次化学療法は,世界的にもフッ化ピリミジンとプラチナ製剤の併用療法であると認識されている.最近は5-FUの静注に代わってS-1やカペシタビンなどの経口フッ化ピリミジン製剤が用いられることが多く,特にわが国ではSPIRITS試験1)の結果を受けて,S-1+シスプラチン併用療法が標準治療とされている.また,ToGA試験2)の結果によりHER2陽性胃癌に対してはトラスツズマブ(ハーセプチン®)を併用することが推奨される.わが国からToGA試験に登録された症例に対してはカペシタビン+シスプラチン併用療法が用いられていたため,トラスツズマブ併用時にはカペシタビン+シスプラチン併用療法をベースにすることが第一選択となる.ただし,切除不能・再発胃癌では腹膜転移を伴うことが多く,経口摂取不要な場合や大量腹水がある場合には,経口剤やシスプラチンを使用することができない.その場合には,5-FU注射剤が用いられることが多い.2次治療以降には確固たるエビデンスはないが,大腸癌と同様に有効な薬剤をすべて使いきることが重要であると考えられており,イリノテカンまたはパクリタキセル,ドセタキセルなどのタキサン系薬剤が用いられることが多い.
S-1による術後補助化学療法歴のある再発例においては,再発時期によって,再発後にS-1を用いるか否かを決定すべきであるが,確固たるデータはない.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.