書評
関東腹腔鏡下胃切除研究会(編著)「腹腔鏡下胃切除術 一目でわかる術野展開とテクニック(第2版)」
笹子 三津留
1
1兵庫医大・上部消化管外科
pp.261
発行日 2011年2月20日
Published Date 2011/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103442
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腹腔鏡下の胃癌手術は早期胃癌に対するRCTが実施されている一方で,エビデンスもないまま,まさに“流行り”となっている.その反面,見よう見まねでやった手術で死の危機に瀕する合併症を生じたケースや早期に再発する症例など,担当医への不信から胃癌を専門として長年やってきた私のところにセカンドオピニオンを求めてやって来る患者・家族に時々遭遇するようになった.誰にとっても「初めての術式」の経験はあるわけで,どうすれば患者さんに迷惑をかけることなく新しい技量を身につけていけるかを考えることは今後ますます重要な課題といえる.
本書は,どうすれば開腹胃癌手術に一定水準以上の技量と経験を持つ人が鏡視下の胃切除を安全かつ有効に実施できるようになるか,を念頭に書かれた書物と筆者は考えたい.胃癌手術の初心者は本書よりも,むしろ同じ医学書院の『イラストレイテッド外科手術』(第3版)を読むべきである.本書は開腹に限っていた胃癌手術を鏡視下手術に広げたい人向けである.いや,それ以上に自分のやり方では何とかそれなりの鏡視下手術を実施できる実力をつけられた先生にぜひ読んでいただきたい.
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