書評
安達洋祐(編)『外科の「常識」―素朴な疑問50』
馬場 秀夫
1
1熊本大大学院・消化器外科学
pp.1364
発行日 2009年10月20日
Published Date 2009/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102718
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
かねてから『臨床外科』(医学書院)誌上で連載中であった「外科の常識・非常識」がついに書籍として発刊された.ついに,と書いたのは,以前よりこの連載企画には興味があり,一度まとめて読んでみたいと思っていたからである.
本書はわが国の外科医が日常診療を行うにあたり,一般的に常識化(もしくは非常識化)している内容を,最新の知見を交えた上で改めて検討し,その真偽を問い直すことに主眼を置いている.誌上掲載時には「人に聞けない素朴な疑問」というサブタイトルをもっていたが,もはや同僚外科医師の間では論議にならないほど当然のことになっている外科診療上の一種の決まりごとを今一度分析し,その「常識」にメスを入れているのである.おそらく私もそうであったように,ここで取り上げられている「常識」には,外科の新人研修医時代から先輩医師を通じて,臨床の現場で経験的に身につけてきたものが多数あり,外科医として一人前になる過程で必要不可欠な事項ともいえる.だからこそ,今さら「人には聞けない」ということなのだが,逆にある程度臨床経験が豊富になるとともに,時には本当にそうなのかと感じる外科の慣行が含まれることも事実である.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.