外科診療に潜むピットフォール―トラブル回避のためのリスクマネジメント講座・9
X線でもわからない義歯の誤飲
山本 貴章
1
Takaaki YAMAMOTO
1
1東京海上日動メディカルサービス株式会社
pp.1759-1762
発行日 2008年12月20日
Published Date 2008/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102414
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異物誤飲,特に幼児や高齢者の異物誤飲には救急外来でしばしば遭遇しますが,本当に誤飲している場合もあれば勘違いで誤飲していない場合もあり,その見極めには慎重な対応が求められます.異物は魚骨,義歯,ボタン,針,貨幣,玩具,電池,もち,PTP(press-through-pack),歯科材料など多岐にわたり,PTPについてはPTP異物症が報告されて以降,最近では縦のミシン折り目がなくなって誤飲しにくいように工夫されていますが,それでも完全に誤飲を防ぐことはできません.異物を誤飲しても多くはそのまま排泄されますが,異物の形状や状態によっては生体を傷つけて感染や穿孔につながるケースもありますし,場合によっては窒息事故につながるケースもあります.今回は,X線写真撮影をしたにもかかわらず誤飲した義歯を発見できなかったために,患者が窒息死してしまった深刻なケースについて検討してみます.
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